極楽記録

BGM制作受け付け中! BGM制作事業「キリカ工房」の主、ソロユニット「極楽蝶」の中の人、ユニット「キリカ」のギターとコンポーザー、弾き語りアーティスト、サポートギタリスト、編曲者のサエキの記録

カセットテープのMTRを買った話

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TASCAM MTR 414 mk2 ネット販売サイトにて購入。

 

さて、勢い余ってブログを立ち上げた次第だ。

 

ここ最近、なぜかカセットテープのマルチトラックレコーダー(MTR)のことが頭を離れなかった。近年、水面下でカセットテープブームが来ているというネット記事を読んだからかもしれない。中目黒に専門店があるんだってね。

 

僕は今35歳で、カセットテープに親しんだのは幼少の頃だ。15歳になった頃にはCDが音楽メディアとして台頭し、カセットテープは過去のものとなった。でも、僕は同年代の人々と比べたらカセットテープの恩恵に授かった数少ない人間かもしれない。

 

家でギターを弾いて、エレクトーンを鳴らしていた18歳の僕が最初に手に入れた録音機材がTASCAM製のカセットテープMTRだった。

はっきり言えば、カセットテープMTRは2003年当時でも時代遅れだった。バンドマンはこぞってデジタルのMTRを使ってデモCDやMD(懐かしい!)を作る時代。お金のない僕はアナログのカセットMTRを使い、旧式のエレクトーンと安物ギターとエフェクターを用いてせっせと宅録をしていた。

当時は色々な工夫をしたな。ボコーダーとかも持っていないから、マイクにギター用のエフェクターをつないでエコーやリバーブを出したりしていた。

今じゃパソコンの中にあるDAWソフトに必要なエフェクトは全部入ってるもんね。

録音も苦労した。テープなのでミスったらトラックごと全部やり直し。

完成した音源は最終的にはMDコンポにつないでMDに落とすのだけれど、うまくやらないと音が割れる、音量が小さくなる。。。マスタリング処理? なんだそりゃ?な機材…。

そして、どんなに頑張っても結局はカセットテープの音になってしまうというジレンマ。

そんなこんなもあり、カセットテープのMTRには苦労させられたことが多い。

結局、僕は今から7年前の引っ越しの際に、自分のMTRを廃品業者にもっていってもらうこととなった。当時はまさか7年後の自分があの機材を手放したことでこんなに後悔するとは思わなかった。

不便だけど、音は良かったのだ。PC上の金ぴかな音に慣れてくると、あのカセットの味わい深い音が恋しくなる。

 

録音、ミックス、トラックダウンまで、今は全部PC上で完成できてしまう。便利な世の中になったものだ。

 

便利な世の中になったはいいが、反面、皆が同じようなDAWソフトを使うようになったため、クリエーターたちは個性を出しづらくなったのでは?と思う。

 

コンピュータはMac、ソフトはlogicやPro Tools。皆同じ機材を使用するDTM界隈。

「商業ベースでやっていくには必要な機材がある」という話はよく聞く。実際、音楽業界のプロたちはPro Tools使えないと仕事にならないらしいし。

 

かくして、皆が同じような機材を購入して同じようなゴールを目指し、本来は「正解」という概念がなかったものに「正解」を見出すようになるわけである。

 

なんか、つまんない話。右へ倣えの精神で個性を失くすなんてさ。

 

カセットテープMTR、僕にとってはクリエーターとして個性を出す重要なアイテムになりそうな気がする。

 

先ほどまで嫁さんと二人で、自分たちの曲をカセットにダビングして聴いていたのだけど、やっぱり一度テープに乗った音の劣化具合は味わい深い。サーッというノイズさえも懐かしい。

これを再びDAWに取り込むと、また余計なものが削ぎ落されてしまうのだろうか。

 

工夫すればまだまだ用途がありそう。これからまた頑張って使いこなそう。

頼むぞ相棒。

 

 

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動作テスト中の著者。