極楽記録

BGM制作受け付け中! BGM制作事業「キリカ工房」の主、ソロユニット「極楽蝶」の中の人、ユニット「キリカ」のギターとコンポーザー、弾き語りアーティスト、サポートギタリスト、編曲者のサエキの記録

そもそも我々日本人はどの程度ハリウッド映画を理解できているのか?問題。

 

大見栄を切ったタイトルである。

 

近頃は映画の話ばかり書いている私。映画は寝ても覚めても大好きだ。

ちょっと前までいい歳して「映画をみない大人は人としてダメだ」と割と本気で思っていた。

でも、最近気が付いたのだけれど自分に限って言えば、映画ばかり見ていたせいか、碌な大人になれていない気がする。周りの映画好きを見ても、まあ似たようなモンだべな。まあでも、こういう人生しか送れないし、それはそれで祝福したいものである。万歳三唱雨あられ

 

さてさて、そんな寝ても覚めても好きな映画なのだが、最近少し映画とは別の、アメリカにまつわる調べものなどをしているうちに色々と思うことがあった。

ハリウッド映画というのは「世界」を市場にして制作されるものである。アメリカ映画でも、例えばウディ・アレンが作るようなアート系の、アレン氏の地元ニューヨークが舞台となる映画は殆ど「アメリカ人向け」の映画として作られているのだとか。

そんな、世界規模の市場を有するハリウッド映画だけれども、どうも文化的背景を共有しない日本人には本当の意味で伝わっていないことが多いように感じる。予備知識がないとわかりづらいものが多数存在するように思う。今回はその辺の「日本人が共有しづらい部分」を一つ一つ見ていこうと思う。

 

 

元ネタが聖書からの引用

 

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モーゼの十戒 海ばっかーん! そこに住んでた魚やイカや貝はどうすんだよ

はい、これね、本当に多い。宗教映画じゃなくてもあるからね。

スーパーマンは元ネタがモーゼ。ついでに言えば、かの有名な桃太郎さんも。

川に流された赤ん坊が流れ着いた先で育てられ、超人的な力を発揮して英雄となる。

一緒なんですよ、これ。不思議ですね。スーパーマンは著作者がユダヤ人っていうのもあるんだってね。ユダヤの方々にとってモーゼは偉大ですからね。

 

 

前回記事にした「ブレードランナー」でも、キリスト教的イメージは頻回登場した。

レプリカントリーダーのロイ・バッティが、自分の手のひらを釘で刺したりするのだけれど、こんなのはもう超有名なキリストの暗喩。聖痕ってやつね。

 

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キリストは人の罪を清めるために十字架に架けられる

ロイ・バッティ(レプリカント)は人間の欲望によって産まれた存在。

そんな彼が人間の罪を背負ったまま死ぬ。そして、主人公デッカードは救われるのである。まあ、デッカードも「レプリカント説」あるけどね。

 

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屋上からデッカードを見下ろす様は、堕天使アザゼルのよう。

ロイが堕天使アザゼルなら、デッカードはいけにえのヤギなのだろうか。

いずれにせよ、「ブレードランナー」に関しては聖書から推察するに「許されるためのものがたり」と説くこともあるいは可能。

 

 

もう一つ、これまた有名な「ターミネーター」の話。

これはもうヒントありすぎるよね。人類の救世主ジョン・コナーのイニシャルはJC(ジーザス・クライスト)。母であるサラ・コナーは、未来からやってきた男カイル・リースと恋に落ち、救世主を産む。

「未来から来た男=存在しないはずの男」だとすれば、「ターミネーター」は聖母マリア処女懐胎の話となる。

サラはシリーズ3、4には登場しないし、5作目では登場するも語り部はカイルに譲ってしまっているが、そもそも上記の説が正しいのであれば、「ターミネーター」の主人公はマリア様=サラでなくてはならないわけ。

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これが現代のマリア様です。キャメロンの映画は女が強い

 

随所随所に聖書モチーフが登場するハリウッド映画。というか、聖書ってそんな感じで形を変えながら数千年に渡って何度も作品のモチーフにされているわけだから、単純に読み物として優れているってことだよね。時を超越した最高のエンターテインメント作品! 聖書は偉大なり! 俺持ってないけど! 仏教徒だけど!

 

 

 

アメリカの政治的背景

 

お次はこちら。アメリカの二大政党である民主党共和党の違い、分かる方います? 

殆どいませんよね。日本の方では。

説明するときに便利なのは、アメリカの二大ヒーローに例えること。

 

まずは共和党代表ヒーロー「バットマン」!

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我らがダークナイト! 必要ならば権力とも戦う熱いヤツ!

共和党の理念とは、「力あるもの(金持ち、権力者)が世の中を良くしていくべきだ」というもの。アメリカでは「才能」や「能力」は神が与えてくれたものだから、与えられた者はその「才能」や「能力」を使って社会に貢献しなければならない、という考え方がある。日本じゃなかなか馴染みの薄い考え方かもね…。

そして、共和党の最大の特徴は「国家に依存しない」ということ。

国や政府が悪政を働いたら、彼らは銃を取って戦うのである。実際、アメリカでは「革命の自由」が保証されているのだとか。共和党員が「銃規制」に反対する理由がそれ。銃がないと戦えないからね。おかげでアメリカは近年大変なことになっているけど…。

バットマンは金持ちの権力者、法を犯してまで自警活動を繰り広げる。これと対極に位置するのがこの男…↓

 

 

そして、今度は民主党代表「スーパーマン」!

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スーパーマンは「アメリカのために」戦うナショナルヒーロー

「何でも国が管理すりゃ良いんだよ」が信条の民主党

市場、経済、福祉に至るまで、全てを国家が管理し、「大きな政府を目指す」という考え。とりわけ、福祉政策においては成果を上げてきている印象がありますが、どうでしょう? オバマ政権の時は今ほどグラグラしてなかったような気がしますが…

 

ただね、スーパーマンってこの人、政府の犬なんですよ。

冷戦中はアメリカに肩入れしてソ連と戦ってたり…無敵のヒーローが、ですよ?

それを「あのやろー間違ってる!許さねー!」って言ってるのがバットマンなわけです。

そして、両者は対立する、と。

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対立する二つの正義!

こういうの、アメリカの政治的背景を知らない人からしてみれば「ただの子供向けヒーローの対決モノ」に過ぎないのかもしれないけれど、アメコミって「正義について」の考察が色々と深いんですよ。さすがアメリカ。

 

近年、「アベンジャーズ」の方でも「シビルウォー」っていうのがやってましたよね。

あれもアイアンマンを民主党キャプテンアメリカ共和党と考えることができるかと。

正義の味方同士で内輪もめである。やっぱり理想が高すぎると揉めるしかなくなるのかね? 

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両者入り乱れ! 

さてさて、こんな感じであっという間に2500字を越えました。

まとめてみると、ハリウッド映画を本当に理解して楽しむためには文化的、歴史的背景を知識として知っておく必要があるということ。

まあ、そんなの知らなくても十分面白いっていうのもハリウッド映画の魅力でもあるのだけれどね。

今回はSF映画とヒーロー映画に絞って考察してみましたが、他ジャンルの映画でも色々とありそうですな。

皆さま、良い映画ライフを!!