極楽記録

BGM制作受け付け中! BGM制作事業「キリカ工房」の主、ソロユニット「極楽蝶」の中の人、ユニット「キリカ」のギターとコンポーザー、弾き語りアーティスト、サポートギタリスト、編曲者のサエキの記録

音楽系即売会「M3 2019秋」終了、マネージャーS氏のこと。

 

 

f:id:kt6453:20191028002326j:plain

ブース。個人的に今回はとてもうまくできたと思います。

 

 

今回で3回連続参加となった。ブース作りもうまくなった。小道具や飾り、モノトーンの布もお気に入り。

僕は今回は目当てのサークルさんもおり、遅まきながら初めて顧客目線で会場を歩くこととなった。今までは自分のサークルをどうするかだけを考えてきた。顧客のことを考えているつもりではあったが、自分が完全に「お客さん」になったのは本当に初めてだった。

数多くいるサークルさんたちの中から自分の気になったサークルさんを探し出すことの大変さや、見つけたら見つけたで、今度はサークルさんに話しかけるタイミングやら何やら、本当に色々と難しいのだと痛感した。

 

今まで我々を目当てにブースまで足を運んでCDを買ってくださった方々、買わなくても試聴してくださったり、足を運んで見てくださった方々には感謝しかない。自分の目当ての方々の音源にたどり着くまで、お客さんたちは色々な障害を乗り越えなければならなかったのを改めて理解した。我々サークル側も、色々と交通整理して見つけていただきやすくする必要があるし、話しかけやすい雰囲気を作る工夫が必要だと感じた。

 

また色々練り直さなきゃですな。

 

 

閑話休題

 

我々にはS氏という名のマネージャーが居る。

S氏に初めて会ったのは大学4年の時だった。僕が新卒で入社したアパレル系会社の同期で、会社の研修の際には共に行動する仲だった。

僕は自分の未熟さやら色々あって、その会社は一年で退職してしまった。20代中盤の先の見えない日々をただやり過ごしていた僕に、S氏は変わらずに接してくれたのだった。大人になってからできた唯一の友人だった。

僕と違い有能なS氏は3年働いたのちに自分の次の展望を考えて退職し、二人でフリーター生活をしていたこともあった。たまに秋葉原で落ち合ってはカラオケに行き、アニソンやらミッシェルガンエレファントやらを唄って声をガラガラに枯らせて大笑いしていた。

今思えば、本当にお互い若かったと思う。

不安や焦りもあり、挫折も失望もあった僕とS氏の20代中盤。そんな日々の中でも秋葉原で会えばお互い変わることなく近況を笑い、声を枯らして歌を唄った。何も特別なことはないのだけれど、これはこれで青春だったと思う。

 

そんなS氏から今年の夏に連絡があった。直接会って話したところ「京都に住むことにした」とのこと。衝撃だった。

 

「まあ、これで今生の別れでもないしな」「京都に遊びに行くよ」等、なるべく感傷的にならないように振舞いつつ、その日もいつも通り秋葉原で遊んで解散となった。

 

帰り道、色々と思いめぐらせた。

 

20代中盤、お互いに不安を抱えながらもたまに秋葉原で会ってはカラオケで喉が枯れるくらい歌って笑い転げていた日々。

 

知り合いが一人もいない中、我々の結婚式に来てくれて受付業務までやってくれたS氏。

 

ライブや即売会の時はチケット代まで払ってくれた上で駆けつけてくれて、僕らにアドバイスをくれたS氏。

 

「俺はS氏に何を返せただろう?」

 

「世話になってばかりで、何も返せてない」

 

友人の門出が迫る中、そんな思いが込み上げてくるのだった。あまりにも自分が情けなかった。それに、たまにしか会うことはなくなったのだけれど、やはりS氏が遠くに行ってしまうのは寂しかった。

 

 

今日も我々が来る前にブースに到着し、「遅いよ」と言って笑っていたS氏。彼には感謝しかない。

僕は友達って少ないのだけれど、本当に良い仲間だけが残っていると思う。

 

世話になっているS氏、その人柄ややさしさに甘えず、しっかりと恩を返していかなきゃな。

 

しかし、京都に行って大分彼も変わった。まずはスマートになって日焼けして健康的になった。転石苔付かずというか、やっぱり活動的な人は若いよな。東京を離れて3か月しか経っていないはずだが、出会った当初のように精悍である。不思議なものですね。

 

いつか、土産を持って京都に行こう。