極楽記録

BGM制作受け付け中! BGM制作事業「キリカ工房」の主、ソロユニット「極楽蝶」の中の人、ユニット「キリカ」のギターとコンポーザー、弾き語りアーティスト、サポートギタリスト、編曲者のサエキの記録

ターミネーターニューフェイト、偉人たちのキャリア総括

 

 

 

 

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いやもうね、やっぱりこの話をするときは「2」の話からしなきゃなのよ。

 

僕はターミネーター2の大ファンである。以前、他のブログでも書いたことがあるのだけれど、中学生の時はVHSを持っていたので、休日が来るたびに観ていたほどである。

本当の話、僕が生涯で一番観た映画が「ターミネーター2」なのである。誇張なしで、50回以上は観てると思う。先日土曜プレミアムで放送されていた際も「さすがにもういいだろ。何回も観てるしな」と心の中で斜に構えつつも放送が始まるや否やテレビをつけて前に陣取って手に汗握りながら鑑賞した。「やっぱり面白い!」と観ていて嬉しくなった。そして、最後にはうっすらと目に涙を貯めている自分に気づくのであった。いやもうね、何回観たとか関係ない。何回観ても本当に面白い。

 

そんな「2」の筋金入りのファンの私である。19歳の頃、とある情報番組で「ターミネーター3が制作中」という報せを聞いて途方に暮れたのを覚えている。原作者のジェームズ・キャメロンは以前「僕の中でターミネーターは2作目で終わっている」と発言していた。にもかかわらず、である。しかも原作者のキャメロン氏は不在。のちになってキャメロン氏は「3作目は僕も納得の傑作だ」と言い放った。僕は「嘘だ」と思った。

「キャメロンはカネを掴まされて、PRのために言わされているに決まっている」と。

だって、2で終わりって言ってたし、結局使われなかったけど、世界に平和が訪れたシーンだって撮影していたのだ。

 

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これがそのシーン。

 

 

ターミネーターは「2」で終わってるんだよ。蛇足でしょ。なぜ続けるのよ?

金か? 金儲けか? ああそうかい、わかったよ。くたばれハリウッド!

 

若き日の僕はそんな風に思い、しばらくハリウッド映画から遠ざかって、ゴダールの気難しい映画を眠い目をこすりながら観ていたのだった。若かったね。発想の幼さたるや恥ずかしき…。

 

最近ようやく「3」を観たけれど、まあ普通に面白かったです。主人公ジョンの腐り方に共感を抱かざるを得なかった。戦争が起きなかったことによって英雄になれなかったという皮肉には考えさせるものがある。

 

「4」は「僕たちの見たかった未来の戦争」を描いてくれたという点で面白かった。

「5」は、もう絶望した。ちなみに「5」の感想は以前運営していたブログに投稿している。あれは「ターミネーターの顔をしたビバリーヒルズ青春白書」だ。

https://ameblo.jp/katsumi0225/entry-12118311368.html?frm=theme

 

やっぱり原作者キャメロン不在のターミネーターはどうしても「世界一金を使った同人誌」にはなってしまいますよね。

今回キャメロン氏は「プロデューサー」として新作に参加している。まあどれほどの裁量権があるのかは不明だが…。

そしてまたもや「2の正当な続編」という謳い文句…。不安しかない…。

 

ターミネーターニューフェイト」、以前の僕ならきっと映画館に行こうとは思わなかっただろう。何を観たとしても、50回以上観た「2」を超えることはあり得ない。あるのは「カネ儲け」の匂いだけだ。ただ、今回はそれまでの「3」~「5」までとは違う。

 

サラ、リンダ・ハミルトンの復活があった。

女優としてはほぼ引退状態だったハミルトンが、新作で登場する。そう、ターミネーター聖母マリア処女懐胎の話なのだ。サラが居ないターミネーターは、もはやターミネーターではないのだ。

そして、すっかり歳をとって柔和にも見えるアーノルド・シュワルツェネッガー

「T-800を演じるのは、これで最後」との発言もあった。年齢から考えて、これは本当だろう。もう70を超えているのだ。前述のリンダ・ハミルトンは撮影時62歳。

キャメロン氏と3人で作り上げた作品を、3人で総括する。なんと感慨深いことだろう。

ファンとしては、観に行かない理由がないわけです。たとえそこに「カネの匂い」があったとしても。

 

さて、長い前置きだ。「ニューフェイト」の話をする。

今回の敵である「REV-9」は、「2」の最強最悪の敵「T-1000」同様の液体金属製であり、二体に分裂して戦える他、ネットにアクセスして標的を捜索、ドローンを使って攻撃する等、現代的なアプローチで主人公たちを追い詰める。

しかし、やっぱり「T-1000」の「うわぁ! 来たよ!」の怖さは越えられない。

あの時代は単純だった。今は複雑すぎる。作り手も大変だろうな。それに、液体金属という発想も、二度目以降は新鮮な驚きを与えられない。

 

主人公の「守護者」として現代に送り込まれる強化人間のグレース(マッケンジーデイビス)。近接戦闘で華麗な身のこなしを披露し、観るものを圧倒させたが、「長時間戦えない」という弱点があり、精神的にもどこか頼りない。この「頼りなさ」が緊張感を見事に演出する。

 

そして、我らがマリアさま、サラ・コナーはブランクを感じさせることのない女戦士。彼女の登場でようやく観客は一息つける。その頼もしさたるや、やはりレジェンドである。

 

シュワルツェネッガー扮する「T‐800」。彼の登場によって物語は「逃走」から「闘争」へと変わる。色々と設定に無理はあるが、やっぱりシュワルツェネッガーが出てこないターミネーターはあり得ない。

 

色々と思うことはある。「REV-9」の倒し方は「T-1000」のときの「ああ、これは死ぬわ」と明らかに目で見て納得できるものではないし、輸送機に乗る前のサラと軍人とのやり取りはイマイチわかりづらい。逃走者と追撃者との間で繰り広げられるカーチェイスはもう何度も観たし、何よりも初っ端で殺されるある人物のことも、現実的な事情を考えざるを得ない。どうしても何か言いたくはなる。

それでも、長い間観たかった「サラの物語」を観ることができたし、逃走者たちが作る疑似家族のような連帯感にも思わず熱くなった。キャメロン、ハミルトン、シュワルツェネッガーの三人が作った最後の作品、劇場で観れて良かったと思う。

 

まあでも、やっぱりターミネーターは「2」で終わってますけどね。