「シン・ウルトラマン」、ネタバレなしで感想を書いてみた。
はっきり言って、私はウルトラマンが大好きだ。
子供の時はソフビ人形で遊んでいた。それこそ、小学生高学年の時くらいまで。
母親には何度も「そろそろウルトラマンを卒業しなさい」と言われたのを覚えている。
何度言われても、私のウルトラマンへの愛は揺るぐことはなかった。むしろ、初期の作品「ウルトラマン」「ウルトラセブン」に関しては、年齢を重ねるごとに物語の持つ意味がわかるようになり、その深みにハマって言った。特撮技術の職人技、設定の妙や作り手役者の裏話など、その切り口の多さに懐の深さを感じた。
子供の頃に遊んだウルトラマンのソフビ人形たちは、今でも実家の母親の部屋の、ミッキーマウスが描かれた大きい缶の中に入っている。子供の頃、数多くおもちゃは持っていて、大人になるにつれて捨ててしまったりもしたけれど、、あのウルトラマンのソフビ人形たちとゴジラ関連の人形だけはどうしても捨てられなかった。捨てなくてよかったと、今でも心から思っている。大げさに言ってしまえば、あのソフビ人形たちは私の「子供時代=イノセンス」の象徴なのだ。ちょっと理屈っぽい話だけれど。
ウルトラマンは、私にとって特別なヒーローだった。おそらく、そういう人は少なくないと思う。
さて、「シン・ウルトラマン」である。
昨年に予告編が解禁された際は、夜勤の遅い時間に友人知人にLINEを飛ばしまくって狂気乱舞した著者である。迷惑も大迷惑。反省するかぎりだ。でも、現代の技術、作風で新たにウルトラマンを創造するという難題を、予告編を見る限り軽々クリアしている。大興奮の著者は、映画そのものに期待せざるを得なかったのである。子供の頃の自分が見たら、勉強なんて全くせずに四六時中ウルトラマンについて考えていたことだろう。
とにかく期待値爆上がり。制作期間も伸びに伸びてやっとみることができた。以下に感想諸々を取り留めもなく書いていこうと思う。おそらく、私情が入りまくるのでちゃんとした文章にはなっていないことと思う。許してほしい。。。
時代や世界観設定に関しては、前作「シン・ゴジラ」同様に徹底したリアル志向。「もし現代社会にウルトラマンが出現したら?」という「今流行り」の世界観を下地にして、物語は進行していく。
ここで、さっそく「リアル志向」であるが故のハードルが現れる。
リアル志向のSF、ヒーロー物には犯しがたい「掟」というものがある。
「ついて良い嘘は一つだけ」という掟である。
それ以上に嘘を足せば足すほど、「リアル志向」からは遠くなっていく。
「シン・ウルトラマン」の場合はウルトラマンの他に、「禍威獣」と「外星人」という二つの嘘が加わることとなる。
ここをどう回避するか?
「シン・ウルトラマン」の場合は、物語全体の構成を「宇宙人による怪奇物」として発展することで、その「重ねられた嘘」を上手く利用できていたと思われる。「初代ウルトラマン」も「SFだけどちょっと怖い」「未来の怪談」という要素が数多くあり、それを今回は上手く踏襲されていたと感じた。この「怪奇」要素は「シン・ゴジラ」にはなかったものだ。
全編を通して、「原作ファン」の勘所を要所要所で押さえた作風となっていた。
例えば、夜の都市での、ウルトラマンと「彼そっくりの敵」との戦い。ファンの間では超有名な、予期せずに撮影された名場面(チョーップ! 痛い!の場面)が再現されていたり、、、
空を飛ぶ姿が原作のミニチュアウルトラマンのままだったり、、、
BGMや効果音も原作そのままに流用していたり、、、
所々見せてくれる実相寺アングル、エヴァっぽい撮り方だったり、、、
ファンとしてはありがたい話です。
ただ、ここまで書いておいても今一つ乗り切れなかった自分がいたことも記しておく。
この「シン・ウルトラマン」、劇場で見てめっちゃ面白かったし絶対に映画館に観に行くことをお勧めする著者です。
でも、正直な感想を書くと「もっとノリたかった」というのが本音である。
上述したとおり、ファンの勘所を押さえた作りにはなっているし、原作の「怪奇物テイスト」も見事に踏襲されていると思う。
でも、「原作が大好きです」以上のものがあったか?
「シン・ゴジラ」の時に主人公矢口のような、作り手の気持ちを代弁したような叫びや覚悟が描けられていたか?
著者の読みが甘いのかもしれないが、原作に忠実なあまり、そこのところが不明瞭になっていた気がする。
サブキャラクターである「滝」が後半に抱える苦悩も、原作ではイデ隊員がやっているし。
後半10分の地球の存亡を賭けた戦いも、SF的過ぎて絵面のインパクトに欠ける。イマイチ「うおー!いけー!」ってノリきれない。
そして、「好き」が高じすぎたせいか、どうも作り手の「人柄」や「心情」が見えにくい映画になってしまった感が否めないのである。
著者が唯一心を揺さぶられたシーンが、「あなたは外星人なの? 人間なの?」と聞かれるウルトラマン=神永の答えである。
初期ウルトラシリーズのエッセンスが凝縮されたセリフが繰り出されるのだが、そこにこそ「人間」を感じる言葉があった。作り手が「ウルトラシリーズ」から学んだエッセンスを自分の言葉にして、改めて伝えようとする意志が伝わってきた。そのシーンで、唯一作り手の「人柄」が見えたと感じた。
私が本作に期待したものは、そういった作り手の「人柄」や「心情」だった。
原作に忠実にやっていただけたことには一ファンとして泣くほど嬉しいところだが、同時に同じウルトラ好きとして、作り手の「あなた」の姿をもっと感じたかったと、思えてならなかった。
閑話休題。
色々書きましたが、本作が大興奮超大作であることは変わりません。
本作を見て、原作「初代ウルトラマン」に興味を持つ方が増え、良質な特撮映画がバンバン作られることを切に願う著者であります!
機会があれば、落ち着いたころに二回目鑑賞しに行こうかな、とも考えています。
ぜひ劇場で、その雄姿を見よ!
最後に一言。
シン・ピグモン、いつか作ってください、円谷さん。