極楽記録

BGM制作受け付け中! BGM制作事業「キリカ工房」の主、ソロユニット「極楽蝶」の中の人、ユニット「キリカ」のギターとコンポーザー、弾き語りアーティスト、サポートギタリスト、編曲者のサエキの記録

ブレードランナーのIMAX上映を観た、という話。

 

 

さてさて、そろそろブレランの話をしようか。

前回書いた記事のせいで、最近このブログを開くといつも「ホアキン・ジョーカー」の拡大画像が飛び出してくる。物凄い映画だったんだけど、重い映画だったしそろそろ気分転換したいのが本音…。アクセス解析のためにこのブログを開くといつもホアキン・ジョーカーのドアップを見なければならないのも辛いのよ、私も、マジで。

 

というわけで、「ジョーカー」よりも2週間ほど前に観た「ブレードランナー IMAX」の話をします。1982年上映の映画とは思えなかった。退廃した世界観に没入してきた著者である。ディストピア世界に浸れるなんて夢のようだ(映画の中だけね、現実のディストピアは絶対嫌だ)。

 

 

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最高にカッコいい! 来場者特典でこれと同じデザインのポスターを貰ったよ!

 

僕が「ブレードランナー」を初めて観たのは、6年前の29歳の時。鑑賞当時は猛烈な眠気に襲われた記憶がある。作中に出てくる映像の一つ一つに既視感を覚えた。それもそのはず。この映画のヴィジュアルイメージや世界観って、色々なところでマネされているのだ。

 

これなんかは1993年にコカ・コーラが制作したCMなんだけれど、思いっきりブレードランナーしちゃってる。


コカ・コーラ CM: Blade Runner 1993 HD

 

それに、僕はブレードランナーを観るはるか昔に、同じリドリー・スコット監督の映画「ブラックレイン」の方を先に観てしまっていたので、尚更既視感を覚えざるを得なかった。

 


ブラック・レイン劇場予告編

 

これもすごい映画だったね。松田優作扮する佐藤は「自国の価値を捨てて変貌していく日本」の象徴。ヤクザの偉いさんは「旧態依然とする日本」の象徴。

そして、ヘンテコニッポン描写ね。農民がサブマシンガン撃ってくるとか、こりゃ誤解を産むよ。

 

そんなわけで、初見の頃は全然ハマらなかったブレードランナー。僕がこの映画の魅力に気づいたのは、原作である「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」を読んだ後だった。原作と映画ではあまりに内容が違うのだけど、原作を読むことでアンドロイド=レプリカントの持つ「よくできた偽物」という概念について考えさせられたからだった。

 

そして、夏ごろに「IMAX上映決定、二週間限定!」の報せを妻から聞いて飛び上がった。

「必ず観なければ! いや、体感しなければ!」と思いながらも多忙を極める日常。結局鑑賞できたのは上映最終日の夕方というギリギリ感。品川のIMAXシアターにて、仕事終わりに鑑賞した。

 

冒頭の「2019年 ロサンゼルス」の映像から早くもぶっ飛ばされた。


Vangelis - Blade Runner - Main Titles - Los Angeles Nov 2019

 

当時はCGなんてものはなく、光学合成とミニチュア特撮が主流である。

IMAXの高画質で大画面で体感すると、本当に自分がこの世界に没入したような感覚に陥った。鑑賞中に、観光客か何かのように思わず首をキョロキョロと揺れ動かしてしまった著者である。ホバーカー「スピナー」が頭の左上を通り過ぎていく時には鳥肌が立った。これが38年前に撮影された映像である。なんという高画質!

40年近く前に撮影した素材をよくぞここまで!と膝を叩いた。CGと違い、リアルな質感。加えて、色合いもどことなく懐かしい。

技術革新も素晴らしいのだけれど、その技術に耐えられる素材の方にも凄みを感じる。

ハリソン・フォードの顔のアップだって毛穴がくっきり見える。こんな解像度良いのかよ! フィルムで撮ってるはずなのに、なんという解像度! 現代の映画と比較しても、まったく遜色ない。「40年近く前の映画だから」と、多少脳内補正するつもりで見に行った私であったが、それも全て杞憂に終わってしまった。そりゃそうだ。当時最高級の機材で撮影したものである。でも、もしかすると今の映画よりも画質良かったりもするかもね。そう思わざるを得ないほど迫力があった。

 

美しい映像美もさることながら、やはり「ブレードランナー」の最たる魅力は謎だらけのシナリオだろう。

後半の主人公デッカードとロイ・バッティの戦いの謎めいた演出は、今でも深く考えさせられてしまうほどに深みがある。途中、自分の手のひらにキリストのように釘を刺すバッティ、堕天使アザゼルのように建物の屋根からデッカードを見下ろすバッティ。

デッカードとバッティは表裏一体なのだろうか。そして、デッカードが夢見たユニコーンの意味とは…。

 

夢のような映像美に心躍らされた2時間だった。IMAXは楽しい。映画の世界に入っていける。「ブレードランナーの世界に浸ってみたい」という僕の夢が、IMAX上映という形で叶ってしまった。またIMAX上映するときは必ず観に行く。そう思わされる「体験」だった。